特定技能1号:通算在留期間上限「5年」に例外措置。上限「6年」となるケースを徹底解説

特定技能1号で働く優秀な人材に、可能な限り長く活躍してほしい。 そうお考えの事業者様も多いのではないでしょうか。しかしながら、在留資格「特定技能1号」の在留期間は通算で上限5年と定められているため、「特定技能2号」や他の在留資格に変更できない場合、どんなに優秀な方でも帰国させなければなりません。

しかし、今般、「特定の事情がある場合」に、上限在留期間を「6年」とする例外措置が設けられることとなりました。

今回は、特定技能1号の通算在留期間の考え方と、5年を超えて在留が可能になる4つの特例について、特定技能外国人を雇用する事業者様や従業員本人が知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。

まずは基本の確認!「通算在留期間」に含まれるもの・含まれないもの

「通算5年」を正確に計算するためには、何がその期間に含まれるのかを正しく理解しておく必要があります。

【通算在留期間に含まれる期間】

  • 「特定技能1号」として就労している期間
  • 「特定技能1号」の在留資格を有しながらも、就労していない期間(上陸後や転職時の待機期間など)
  • 一時帰国など、再入国許可(みなし再入国許可を含む)で出国している期間
  • 特定技能1号への移行を目的とした「特定活動」の在留期間

一方で、以下のようなやむを得ない事情で就労できなかった期間は、申請を行うことで通算在留期間から除外されることがあります。

【通算在留期間から除外される可能性がある期間】

  1. コロナ禍の入国拒否など、やむを得ない事情で日本に再入国できなかった期間
  2. 産前産後休業・育児休業を取得した期間
  3. 病気や怪我で1ヶ月を超える長期間の休業をした期間

これらの期間は、自動的に除外されるわけではなく、在留期間更新等の申請時に、その事実を証明する資料を提出して認められる必要がある点にご注意ください。

【本題】在留期間が延長される4つの例外ケース

それでは、具体的な例外ケースを一つずつ見ていきましょう。貴社で雇用されている従業員の方が該当しないか、ぜひご確認ください。

ケース1:コロナ禍などで再入国できなかった場合

一時帰国中に、新型コロナウイルス感染症の水際対策のような予期せぬ事情で、長期間日本に戻れなくなったケースです。

この場合、日本に戻れなかった期間を通算在留期間から除外するよう申請できます。

  • 必要な手続き: 在留期間更新許可申請など
  • 主な必要書類:
    • 通常の申請書類一式
    • 再入国出国期間に関する申立書(参考様式第1-28号)
    • やむを得ない事情を証明する資料
ケース2:産前産後休業・育児休業を取得した場合

労働基準法や育児・介護休業法に基づき、産休・育休を取得した期間も、通算在留期間から除外できます。

  • 対象期間: 産前6週・産後8週、子が1歳(最大2歳)に達するまでの育休期間
  • 必要な手続き: 在留期間更新許可申請など
  • 主な必要書類:
    • 通常の申請書類一式
    • 休業期間に関する申立書(参考様式第1-30号)
    • 母子健康手帳の写し
    • 会社が発行する休業を証明する資料、休業期間中のタイムカードの写し など
ケース3:病気や怪我で長期休業した場合

業務外の病気や怪我、または労災によって長期間の休業を余儀なくされた場合も対象となります。

  • 対象期間の条件:
    • 連続して1ヶ月を超える休業であること
    • 原則として休業期間が1年以下であること(労災の場合は3年以下)
  • 必要な手続き: 在留期間更新許可申請など
  • 主な必要書類:
    • 通常の申請書類一式
    • 休業期間に関する申立書(参考様式第1-30号)
    • 医師の診断書(治療期間が明記されたもの)
    • 休業期間中の給与明細やタイムカードの写し など
ケース4:【新設】特定技能2号試験に再チャレンジする場合

これが、先日新たに設けられた特例です。特定技能2号へのステップアップを目指す人材にとって大きなチャンスとなります。

特定技能2号の試験を受けたものの不合格だった場合でも、以下のすべての要件を満たすことで、通算在留期間が最長6年まで延長される可能性があります。

  • 対象者の要件:
    1. 不合格となった2号試験で、合格基準点の8割以上の得点を取得していること。
    2. 本人に、再受験して合格を目指す強い意志があり、合格後は速やかに2号へ変更申請し、不合格の場合は帰国することを誓約していること。
    3. 受け入れ企業が、本人を引き続き雇用する意思があり、合格に向けた指導や支援を行う体制があること。

このケースでは、受け入れ企業側の継続的な支援体制が非常に重要となります。

  • 必要な手続き: 在留期間更新許可申請
  • 主な必要書類:
    • 通常の更新申請書類一式
    • 通算在留期間を超える在留に関する申立書(参考様式第1-31号)
    • 8割以上の得点を取得したことが分かる試験結果通知書の写し

注意点

自動延長ではない: これらすべてのケースにおいて、延長や除外は自動的に行われません。必ず在留期間が満了する前(概ね3ヶ月前)に地方出入国在留管理局への申請が必要です。

すべての分野における措置ではない:「自動車整備士技能検定2級」及び「航空従事者技能証明」については、現在のところ6年の通算在留期間の対象になる予定はありません。また、いくつかの分野においては、現在、試験実施機関の準備が整っていないため、例外措置が未実施となっています。

通算期間の正確な把握: 「特定技能1号」での通算在留期間を正確に把握したい場合、「出入(帰)国記録」の開示請求という方法があります。ただし、開示される記録には期間の算定結果は記載されておらず、電話等での問い合わせもできません。ご自身で記録を基に計算する必要があります。

特定技能1号における通算在留期間が5年に達する外国人の雇用継続についてお悩みやご不明点がございましたら、ぜひ一度、在留資格申請の専門家である行政書士やまが国際法務までご相談ください。

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